親知らず
親知らず
当院では、3D-CTを完備しており、解剖学的な神経や血管の走行や位置関係を術前に正確に評価することが可能です。この術前評価により、抜歯手術をより安全に行うことができます。また、当院には口腔外科認定医や口腔外科出身のドクターが複数在籍しており、豊富な経験を持つ医師が抜歯手術を担当いたします。これにより、患者様にとって、より安全で確実な治療が提供できると考えています。
「親知らず」は、顎の一番奥に生える歯で、永久歯の中で最後に発育します。正式には「第3大臼歯」と呼ばれますが、成人になってから生えることから「智歯」とも呼ばれています。また、親の手を離れた頃に生えてくることが名前の由来とされています。
「親知らず」の有無や生え方には個人差があります。もともとない方もいれば、上下左右の4本がすべて揃っていない方もいます。さらに、まっすぐ生えるとは限らず、横や斜めに生えたり、埋まったままの場合もあります。他の歯と同じように正常に生え、しっかり噛み合っている場合は特に問題はありませんが、悪影響を及ぼすような生え方をしている場合は、抜歯を検討する必要があります。
「親知らず」のトラブルは、顎の大きさと関係しています。現代人の顎の骨は昔と比べて小さくなっていますが、歯の大きさはあまり変わっていません。そのため、一番最後に生える「親知らず」は、スペースが不足して正常に生えないことが多いのです。斜めに生えたり、一部だけ頭を出していたり、顎の中で水平に埋まったままのこともあります。こうした状態では、むし歯や炎症を引き起こしたり、歯並びの悪化や顎関節症の原因となることもあります。
現代人の顎が小さくなった理由の一つには、食生活の変化が挙げられます。昔に比べて柔らかい食べ物を多く摂るようになり、顎の発達が抑制されたと考えられています。また、歯の生え方には遺伝や生まれつきの要素も影響します。
「親知らず」の痛みは、生えてくる際に歯肉が他の歯によって傷つけられたり、細菌に感染して炎症を起こしたりすることで生じます。「親知らず」は歯肉が部分的に被ることで不衛生になりやすく、炎症が起こりやすいのです。この歯肉の炎症を「智歯周囲炎」といい、20歳前後の方に多く見られる症状です。口を開けるのが難しくなったり、痛みとともに発熱することもあります。「親知らず」が仕事や勉強の追い込み時に痛むことが多いのは、疲れやストレスなどで身体の抵抗力が低下したときに炎症が起こりやすくなるためです。
横向きや斜めに生えている場合、歯ブラシがうまく当たらず、「親知らず」や手前の歯がむし歯になるリスクが高まります。
「親知らず」に被さっている歯肉が智歯周囲炎を起こし、これが口臭の原因にもなります。また、「親知らず」の周りに汚れがたまることで、手前の歯ぐきも歯肉炎にかかりやすくなります。
上顎の「親知らず」が生えてくると、下顎の歯ぐきを噛んでしまい、炎症や腫れの原因となります。
横向きや斜めに生えた「親知らず」が手前の歯を強く押すことで、歯並びやかみ合わせが悪くなる場合があります。
「親知らず」によってかみ合わせが悪くなると、咀嚼時に左右の顎のバランスが崩れ、片方の顎に負担がかかり、顎関節症を引き起こすことがあります。
「親知らず」が完全に顎の骨の中に埋まっていて、症状がない場合や、痛みもなく周りの歯や歯列に影響がない場合は、抜歯の必要はありません。しかし、明らかに悪影響が出ている場合は、抜歯をおすすめします。また、日頃から歯科健診を受けて、不具合の兆候が見られる「親知らず」を早期に発見し、適切な処置をしておくことも重要です。
「親知らず」の抜歯を行う際には、周囲の神経や血管の状態を正確に把握することが重要です。抜歯時に神経に触れたり、太い血管を傷つけたりしないようにするために、歯科用CTを活用して「親知らず」の位置を立体的に確認しながら治療を進めます。埋まっている「親知らず」でも、必要以上に歯ぐきを切開したり、顎の骨を削ったりせずに抜歯が可能です。
抜歯は、十分に麻酔を効かせて行いますので、抜歯中に痛みを感じることはほとんどありません。まず、表面麻酔をしっかり効かせてから注射による麻酔を行います。万が一、抜歯中に痛みがある場合は、追加で麻酔を施し、痛みがなくなるまで処置を進めませんので、ご安心ください。
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カウンセリング
病歴・持病、ご要望、歯の状態を確認させていただき、治療の流れなどを説明いたします。
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神経や血管の位置を歯科用CTで確認
まずは歯科用CTで、神経や血管の位置、親知らずの根を立体的に確認します。事前に「親知らず」の状態を詳細に把握することで、安全性を十分確保して抜歯を行います。
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抜歯準備
炎症が起きている場合は麻酔が効きにくいため、抗生物質を服用していただき炎症を抑えます。また、細菌を減らす目的で、口内を掃除します。
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表面麻酔と注射麻酔で痛みを抑える
表面麻酔を行い注射の痛みを感じなくさせたのちに、注射麻酔を行います。これにより麻酔の痛みを最小限に抑えます。「親知らず」に歯ぐきが被っている場合、歯ぐきを切開して「親知らず」の頭を出します。
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「親知らず」を抜歯する
歯と歯槽骨(しそうこつ)の間には歯根膜(しこんまく)と呼ばれるクッションのような膜があり、そこから、専用の器具を使用して「親知らず」を引き離します(抜歯)。横向きや斜めに生えている「親知らず」は、いくつかに分割して取り除きます。奥に埋まっている場合は、周囲の骨を削ることもあります。
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抗生剤と止血剤を填入して縫合
抜いてできた穴の部分が、早く塞がるようにかさぶたの形成を促します。穴は抗生剤と止血剤を填入して縫合します。また、ガーゼを強く噛んでいただくことで圧迫止血を行い、痛みや腫れを最小限に抑えます。
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翌日の消毒
抜歯の翌日は、出血・細菌感染などの確認と消毒を行います。状態によって薬を調整します。
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1週間後に抜糸
抜歯後1週間ほど経過すると傷口が塞がってきますので、確認して問題がなければ抜糸をします。その後、3~4週間で傷口は完全に塞がり、骨は3~6カ月程度で回復します。
※この期間には個人差があります。
術後2~3日は腫れや痛みがあります。また、かさぶたになるまでは出血しやすい状態になります。アルコールや運動、長時間の入浴など血行が良くなるようなことは避け、安静にしましょう。血が止まらない場合は、清潔なガーゼやティシュなどを丸めて穴の上に置き、しっかり噛むことで圧迫止血をします。抜歯当日は少量の血が付着する程度は正常です。
抜いた穴の中にできるゼリー状のかさぶたを、口に水を含み転がすなどして洗い流さないようにしてください。かさぶたを汚物と思って剥がしてしまうと、治癒期間が延びたり、傷口が細菌に感染したりすることがあります。
下顎の「親知らず」を抜いた時に起こりやすいのが「腫れ」です。この腫れは軽く冷やすことで引くことがあります。頬の外側から冷却ジェルシートを貼ることも効果的です。
かさぶたが綺麗に出来なかったり剥がれたりした場合は、抜いた穴がなかなか塞がらず、骨の一部分が外から見えることがあります。この状態をドライソケット(治癒不全)といい、痛み止めを飲まないと耐えられない痛みが、1週間以上続くことがあります。目安として2週間経過しても痛みの状態が改善されなければドライソケットの可能性が高いので、受診してください。